人を「できる・できない」で決めない
僕が施術に取り入れている考え方の一つに、
発達科学があります。
ここでいう発達科学とは
発達心理学者カート・フィッシャーが提唱した
ダイナミック・スキル理論(Dynamic Skill Theory)
を中心とした考え方です。
フィッシャーは、人間の発達や学習を、単純に一直線に伸びていくものとして捉えませんでした。
人のスキルは、その人だけで完結するものではなく、環境、課題、支援、感情、経験などとの関係の中で変化する動的なものとして捉えます。
これは、僕が人を見るうえでとても大切にしている視点です。
できない人 なのだろうか?
例えば、”あることが一人ではできない”というのがあります。だからといって、その人に”その能力がない”とは限りません。
少し説明を聞けばできる。
誰かと一緒ならできる。
安心できる環境ならできる。
やり方が変わればできる。
昨日はできなかったけど今日はできる。
逆に、普段ならできることが、疲れていたり、不安が強かったりするとできなくなることもあります。
つまり、”能力があるか・ないか”
この2択だけでは、人を十分に理解できないということです。
人の力は条件によって変化する
症状も、その人だけの問題として見ず、この考え方を施術に取り入れています。
痛みや不調があると…
「この筋肉が悪い」
「この骨格が悪い」
「この人の身体の使い方が悪い」
と、原因を1つに絞りたくなります。
しかし、その症状を構成する要素は、1つとは限らず、影響も大小様々です。
ですから、”何が悪いのか?”だけではなく、”どのような条件で、この状態が起きているのか?”ということも考えるのです。
どんな条件で力を発揮できるか?
これもとても重要です。
人を、身体の柔軟さ、姿勢、運動能力、考え方など、固定観念や先入観で見ないように心掛けています。
なぜなら、今そう見えていることと、その人が本来持っている可能性は、必ずしも同じではないからです。
環境、身体、理解、経験、支援など、全ては変化しますし、意識的に変化することもできます。それによって、できなかったことができるようになることもあるのです。
人は完成された固定物でなく、環境との関わりなどで変化し続ける存在です。
僕の施術と発達科学
もちろん、発達科学やダイナミック・スキル理論そのものは、整体や施術の技術ではありません。
僕が”発達科学療法”と呼んでいるのは、この発達科学の考え方で人を理解し、施術を組み立てるための一つの視点として取り入れているという意味です。
前々回ご紹介した礒谷式力学療法では、
身体を左右のバランスや力学から見ます。
そして今回の発達科学では、人を固定された状態として見るのではなく、環境や条件との関係の中で変化する存在として見る。
見る角度を変えれば、必然的に見えてくるものが変わります。
1つの見方だけで人を決めない
その人をいろいろな角度から見て、その人に合った条件を考えていく。そして、”今できていること”だけでなく、”これからできるようになること”まで見る。
それも、僕の行う施術の大切な考え方の1つなのです。


